河北新報オンラインニュース 2019年02月09日
聴覚障害を抱えながら陸上競技に励む生徒が、
光の色で出走を合図するスタートランプの活用を訴えている。
色で合図を知らせるスタートランプ(日本聴覚障害者陸上競技協会提供)
宮城県聴覚支援学校(仙台市)中学部3年の長谷川翔大さん(15)。
一般生徒との競走で出遅れた体験を踏まえ、
「後輩に同じ思いをさせたくない」と普及に期待する。
ランプは選手の足元に置いて使用する。
赤色が「位置について」、黄色で「よーい」、白色で「スタート」のサイン。
ピストルでの合図と連動し、時間差がない。
陸上の練習に励む長谷川さん(右)=角田市陸上競技場
ランプは聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」などで使われている。
国内では2017年5月に秋田市内で初めて使われた。
日本聴覚障害者陸上競技協会が2台を所有している。
長谷川さんは生まれつき耳がほとんど聞こえず、障害2級の障害者手帳を持つ。
角田市の自宅を離れて学校の寮で暮らし、陸上部に所属する。
18年には東北地区ろう学校体育大会の男子200メートルで大会新で優勝し、
宮城の総合優勝に貢献した。
健常者との競走ではピストル音が聞こえにくく、不利になることもある。
18年6月の仙台市中学校総合体育大会で長谷川さんは100メートルに出場したが、
出遅れて悔しい思いをした。
ランプの存在は、時折指導してもらっている仙台大の職員佐々木琢磨さん(25)
から教えてもらった。
協会に依頼してランプを借り、
翌月あった県中学校総合体育大会で使用してもらった。
その結果、長谷川さんは準決勝に進み、
100メートルで11秒88の自己ベストを記録した。
長谷川さんは
「周囲がざわざわしていると、補聴器を着けても合図が聞こえない。
ランプは見るだけでよくて集中できる」と話し、
「頑張っている後輩のためにもランプを使ってほしい」と望む。
佐々木さんは17年、トルコであったデフリンピックの
400メートルリレーで優勝した経験もある。
「豊かな国と貧しい国の選手で格差があるため、世界大会では
選手が補聴器を着けず、ランプを使っている。同じ条件で勝負するのにランプは必要だ」
と強調した。
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