西日本新聞
2019年04月04日
僕は目で音を聴く(43完)またどこかでお会いしましょう(平本龍之介)
聴覚障害者をテーマに、新聞で連載しないかと打診を受けたのは昨年1月のこと。広く聴覚障害のことを知ってほしいと思い、描きたかったことなので「お願いします」と即答しました。最初は3カ月の予定でしたが全国から反響もあり、1年間描かせてもらいました。
思ったことをいろんな表現で自由に描ける漫画とは異なり、字数の決まったコラムは難しいものでした。結論が毎回、似通ってしまうとだめですし…。読者の中に不快に感じる方もおられるため、いわゆる「下ネタ」を遠慮したこともあります。
聴覚障害者団体の会報で月1回の連載は経験がありましたが、週1本は休む暇もなく、描き終えたらすぐ、次の話を考えなければいけません。損保会社に勤めて毎日デスクワークしながら、昼休みなどの空き時間も活用していつでもどこでも描けるよう、iPad(アイパッド)を常に持ち歩いていました。
大変でしたが、さまざまな人に「面白い」と言っていただいて、人生の中で本当に良い経験になり、自信にもなりました。
聴覚障害者をテーマにした漫画は数多く出版されていますが、どれだけ多くの人の目に留まるのかが課題です。今回は本当に、新聞の影響力の大きさをまざまざと感じました。
昨年末、西日本新聞社に寄稿されている方々が一堂に会する忘年会に出席しました。手話通訳の方も呼んで、お話しして強く印象に残ったのは、作者の方々が、何より楽しみながら書かれていること。本人の楽しい気持ちこそが訴える力につながり、読者に伝わり、読む人も増えていくのでしょう。
連載した4コマ漫画だけでなく、その英訳版も私のホームページ(「平本龍之介」で検索を)で公開を始めました。自作漫画の単行本「ひらもとの人生道」も現在2巻まで発売中です。今後もさまざまな形で聴覚障害者の姿を伝えていきます。1年間読んでいただき、心からお礼申し上げます。またどこかでお会いできる日を、楽しみにしています。
(サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市) =おわり
◆プロフィール
本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。
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