須山さん(松江ろう学校)世界ろう者室内陸上出場へ 3月

山陰中央新報
2019年2月27日


 島根県立松江ろう学校(松江市古志町)高等部2年の須山勇希さん(17)が、

3月に欧州のエストニアである「第1回世界ろう者室内陸上競技選手権大会」に

山陰両県で唯一、出場する。


 2年前の全国大会短距離と跳躍種目で上位入賞を果たし、

代表の座をつかんだ。


 国際舞台での決勝進出を目指す須山さんは、調整を重ねるとともに

「世界から集まった選手と手話や英語で交流したい」

と思いを巡らす。


 大会は、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催し、

3月14日から4日間、34カ国の選手300人が参加して覇を競う。

  日本からは高校生、大学生など16人が出場する。


 須山さんは2017年10月に静岡市内であった

「全国聾(ろう)学校陸上競技大会」男子100メートルで11秒57を

マークして3位、走り幅跳びは6メートル05で2位に入った。


 選手を派遣する一般社団法人・日本聴覚障害者陸上競技協会が

定めた標準記録を突破し、ユース枠での参加が決まった。


 自己記録は100メートルが18年4月に出した11秒37、

走り幅跳びは18年9月の6メートル21。

 本番では男子の60メートル、走り幅跳びに出場する。


  これまで事前の強化合宿に計4回参加。

校内の人間関係が大半を占めたこれまでの生活とは異なり、

全国から集まった同世代の選手に刺激を受けた。

「もっと上を目指したい」

とのモチベーションが高まった。


「真面目でこつこつ努力を重ねる性格」と評するのは、

幼稚部から成長を見守る松江ろう学校の福島朗博校長(57)。


 読書好きで幼稚部の図書コーナーにあった蔵書約300冊を読破した。

読書で培った集中力は競技でも生きており、坂道や階段を走る練習を黙々と繰り返す。


 陸上部顧問の野津智教諭(39)は

「同世代の選手と競い、経験を積んでほしい」と願う。

  

 不安はスタートだ。これまでの大会は、補聴器を装着して

ピストルの音に反応していた。


 しかし、今回の大会は床に設置したランプの合図で一歩を踏み出す

慣れない形式のため、持ち味の瞬発力を発揮できるかどうかが心配という。 


 陸上に集中したいと親元を離れ、寮生活を送りながら練習に励む。

須山さんは

「これまでの努力が認められてうれしい」

と、ひのき舞台のスタートラインに立つ日を心待ちにする。




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