読売新聞オンライン
◇県福祉協会後援会 20回目上映会
◇2月10日、栗東 市原悦子さん遺作「しゃぼん玉」
耳の不自由な人たちにも映画を楽しんでもらおうと、県聴覚障害者福祉協会後援会が
毎冬開催している字幕付き映画の上映会が10日、20回目を迎える。
市原悦子さんの遺作映画「しゃぼん玉」上映会への来場を呼びかける木戸会長(大津市で)
作品は、1月に亡くなった女優市原悦子さんの遺作映画で、
犯罪を繰り返してきた青年が、逃亡先の村の高齢女性らとの交流を通じて
立ち直る姿を描いた「しゃぼん玉」(2017年公開)。
木戸宇猪郎ういちろう会長(71)は
「字幕でも見応えがあり、高齢女性を演じる市原さんの演技も素晴らしい」
と来場を呼びかけている。
(生田ちひろ)
協会は、手話通訳者の養成や生活相談などを行う県立聴覚障害者センター(草津市)や、
就労支援施設を運営している。
後援会は協会を支えるために聴覚障害者や支援者らの手で1995年に設立され、
秋に模擬店や手話劇のイベントなどを開催し、収益金を協会に寄付するなどしてきた。
映画の上映会は99年度にスタート。
これまでにカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した「そして父になる」や、
「ペコロスの母に会いに行く」などを上映し、近年は約800人が来場する。
字幕付き映画は聴覚障害者だけでなく、健聴者や高齢者にも好評で、
「ストーリーが分かりやすかった」
「もっと普及してほしい」
といった声が寄せられてきた。
毎年、業者から後援会のメンバーらが作品リストをもらい、試写会などもして、
共感性や字幕にした際の展開の分かりやすさなどで選んできた。
「開始当時は字幕付き邦画は珍しかった」と木戸会長は振り返る。
近年は増えたが、一般作の半分に満たないという。
しゃぼん玉は、直木賞作家・乃南アサ原作の同名小説を映画化した作品だ。
滋賀出身の林遣都が青年を演じていることも選ばれたポイントという。
市原さんの遺作ということもあり、問い合わせが相次いでいる。
木戸会長は
「上映会が浸透することで、字幕付き邦画の意義が広く知られてほしい。
今後も続けていく」と話す。
上映会は10日午前10時半と午後2時から、栗東市の栗東芸術文化会館さきらで。
各回、先着800人。
前売りは一般1000円、小中学生600円。
当日は共に200円増。
申し込みは、県立聴覚障害者センター(077・561・6111)。
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