僕は目で音を聴く(32) 携帯のなかった時代には

西日本新聞  2018年12月20日


僕は目で音を聴く(32) 携帯のなかった時代には(平本龍之介)


 ポケットベル(ポケベル)が来年からサービスを終了するとのこと。

私がポケベルを持ったのは高校2年、携帯電話は高3の時でした。

 聞こえないと電話は使えないので、昔、聴覚障害者にとってはかなり不便で苦労しました。


  子どものころ、個人的な通信手段はもっぱら手紙でした。

相手から返事が来るまで1週間かかることもありました。

女の子に手紙で告白をした経験もあります。

 1週間、ドキドキしながら待ったことは忘れられません(結局、失恋しました)。 


 その後、ファクスが普及したので、手紙より返事は早く来るようになりました。

友人に送りまくって、よくインキフィルムを切らしたものです。

 待ち合わせも、聞こえない相手と場所と時間をファクスで伝え合いました。

待ち合わせ場所で1時間も待って、諦めて帰ったこともありますが…。 


 駅によっては伝言板を設置しているところもあり、中学時代は仲の良かった友人と

メッセージを残し合いました。相手の電車が遅れたり、寝坊したりした場合は

「先に行くぞ」と書き込み、笑わせようとイラストを描いたことは良い思い出です。


  ポケベルが出たときは、公衆電話で番号を打てば短いメッセージも送れたので、

連絡や意思疎通がとてもスムーズになり、大変喜ばしかったです。

 ただしメッセージの送受信にはお金がかかり、相手からたった2文字で

「バカ」と受信しただけで、こちらも料金を支払う羽目になったのは欠点でしたが。 


 携帯電話を買ったのは、高校の友人の中では私が最初だったのではないでしょうか。

スクリーンが小さく、メッセージは20文字程度しか送信できませんでしたが、

ポケベルよりも使いやすかったのは言うまでもありません。


 それから携帯でインターネットも使えるようになり、現在はスマートフォンに進化。

ノーマライゼーションが社会の理念となり、誰もが手元で

さまざまな情報収集ができます。

技術の進歩に、本当に感謝しています。  

(サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)  


◆プロフィール 

本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。

1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。

漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。




0コメント

  • 1000 / 1000