朝日新聞デジタル 2018年8月22日
安芸高校野球部主将の徳永旭さん(2年)が、
8月25日に開かれる第35回全国高校生の
手話によるスピーチコンテストに出場する。
野球と手話の練習を両立させる日々を続けている。
徳永さんは小学5年の夏、手話と出会った。
母親に連れられ手話サークルに参加した。
初めて見た手の会話に興味を持ち、毎週、サークルに通い始めた。
一つずつ手話を覚え、ろう者と会話が出来るまでになった。
色々な行事に参加し生の声に耳を傾けた。
計り知れない苦労を聴くうちに「少しでも力になりたい」と思いが強まった。
サークルのメンバーと幼稚園や小中学校で手話の授業を続け、
地域のろう者に「ぬくもりレター」を届けている。
メンバーの顔写真付きだ。
南海トラフ地震など災害が起きたとき、避難所でろう者に
自分たちの顔を見て安心してもらう目的があるという。
ろう者と野球の話題で盛り上がることもある。
徳永さんの丸刈りを見て「野球をやっているの」
「ポジションは?」などと手話で聞いてくる。
「未来」と手話で表現する徳永旭さん=2018年7月2日、高知県安芸市桜ケ丘町
「仲間の大切さ 共通」
今夏の第100回全国高校野球選手権記念高知大会で安芸は1回戦で敗退。
徳永君は1安打を放ち、好捕も見せた。
敗退後に新チームが発足し、徳永君は主将に選ばれた。
部員は6人と少ないが、みんなで来夏の飛躍を誓っている。
「野球も手話も一人では何もできない。仲間の大切さは共通です」
夏休み、昼は野球の練習に夜は手話に没頭する。
野球部のメンバーも「全国大会では頑張れ」と応援してくれる。
25日の大会では「手話の普及で広がる未来」という題でスピーチする。
「自分のこれまでの経験を一人でも多くの人に伝える手話を披露したい」
と身長165センチの体をピンと伸ばした。
大会は東京・有楽町朝日ホールで開催される。
主催は全日本ろうあ連盟、朝日新聞厚生文化事業団、朝日新聞社。
NEC協賛。
(笠原雅俊)
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