【マンガ】僕は目で音を聴く(16)

西日本新聞  2018年08月16日


僕は目で音を聴く(16) 

病院で名前を連呼されても


 聴覚障害者が困るのは、病院で名前を呼ばれるときではないでしょうか。 


 大きな病院は受け付け番号が表示されるので分かりやすいのですが、

小さな病院だと患者は名前を呼ばれることになります。

口頭で呼ばれるだけでは、それが自分のことなのかどうか、やっぱり分かりません。


  受け付けの人が誰かを呼んでいるとき誰も反応がなかったら、高い確率で

それは私のことです。でも、受け付けの人と目と目が合ったので私だと思ったら、

実は私の後ろに座っていた人を呼んでいたことがあります。


  同じ病院に何度も通えば顔を覚えてもらえるので、受け付けの人も、

私が聴覚障害者であると分かった上での対応に変わってきます。


 ですが担当者が代わったらまた振り出しです。かかりつけの病院には今、

「カルテに『耳が聞こえない』と書いたふせんを貼ってください」とお願いしています。  


 それでも人によっては、ふせんが貼ってあっても特に配慮がなかったことがあります。

きっと聴覚障害者と触れ合った経験がないのでしょう…。  


 かかりつけの病院で健康診断を受けたときはもっと大変でした。

カルテに耳が聞こえないと書いたふせんがあっても、検査ごとに担当者が代わるので、

ほとんどは私の顔を知らない人ばかりです。

なので私の名前を連呼しながら探してもらうことになります。

私も、常に担当者の顔をうかがう状態になるため、ゆっくり休みながら待つことができません。


  健康診断ではどの担当者であっても、受診者が聴覚障害者など

配慮が必要な人であると分かるような、例えばその人の腕に赤いテープを巻くとか、

目立つバッジをつけるとか、見ただけで分かるような

何らかの工夫をしてもらえないかと考えています。


 院内のアンケートに何年も前からそう記入しているのですが、

なかなか実現しませんね。

検査の合間に、スマートフォンを見たり

本を読んだりできたらなあと願っています。  

(サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)  


◆プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。

1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。

漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。 


 =2018/08/09付 西日本新聞朝刊=

僕は目で音を聴く(16)病院で名前を連呼されても(平本龍之介)



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