神戸新聞NEXT
2019/3/15
旧優生保護法(1948~96年)下の不妊手術問題を巡って、
兵庫県内では、不妊手術を受けさせられるなどした障害のある5人が、
神戸地裁に提訴している。
神戸地裁=神戸市中央区橘通2
国に対し、1人当たり1100万円の損害賠償を求めるが、
与党のワーキングチームや超党派議員連盟が14日に示した
救済一時金の320万円とは隔たりが大きい。
兵庫の原告側弁護団は
「被害の重大性に見合った補償内容になっていない」
とした。
神戸地裁では昨年9月、いずれも聴覚障害のある明石市の
小林宝二さん(87)と妻喜美子さん(86)夫婦、
県内の80代の夫と70代の妻が提訴。
2月には、脳性まひのある神戸市の鈴木由美さん(63)も訴えた。
鈴木さんは、12歳で説明なしに不妊手術を受けた後、
思い出すたびに恐怖でけいれんする後遺症があり、
約20年間寝たきりで暮らした。
この日、弁護団を通じて出したコメントでは「お金の問題ではない」とし
「私たちの大切な時間が奪われているのに、苦しみを感じてもらえていないのではないかと納得できない」
と心境を吐露した。
婚姻歴もあり、相手に伝えるのはつらかった。
「子どもがほしかった」と長年悲しみを抱えてきた。
「国にはきちんと謝罪をしてほしい」
「一時金を支払って終わりではなく、国がしてきたことをきちんと考え、しっかりとした法律をつくってほしい」
と望んだ。
兵庫の弁護団は14日、声明を出し、早期の救済法案立法化に敬意を示す一方で
「不十分な点が残る」
と指摘。
被害者の尊厳と被害回復を図るためとして、
国の責任明記と謝罪
▽第三者性を担保した被害認定制度策定
▽被害に見合った補償
▽優生思想の誤りと障害者の人権について教育する体制づくり
-などを法案に盛り込むよう求めた。
(小林伸哉)
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