通級指導 教員に研修 20年度にも…発達障害や弱視・難聴

読売新聞オンライン
2019/03/09


 文部科学省は、発達障害などのある児童・生徒が通常学級に通いながら、

障害に応じた指導も受ける通級指導について、担当する教員のための研修制度を新設する。


 通級指導を受ける小中学生が増加していることから、

専門知識を備えた教員の育成が必要と判断した。

 2020年度にも開始する方針だ。


 通級指導は、「授業中に落ち着きがない」「読み書きがうまくできない」など、

障害によって授業が受けにくい児童・生徒に、通常学級のクラスと別に

教員が追加的な指導を週数回行う制度。


 小中学校で1993年度に制度化され、18年度から高校でも始まった。

17年は全国の公立小の2割超となる約4400校、

公立中の約1割の約800校で合計約10万9000人の児童・生徒が指導を受けた。


 ただ、通級指導を行う教師に専門資格や免許は求められておらず、

クラス担任の教員が兼務している場合が多いというのが実情で、

指導の質にばらつきがあるとの懸念が出ていた。


  都道府県教育委員会などを通じて行う新設の研修制度では、

教員に障害に応じた専門的な指導法について学んでもらう。


 児童・生徒に感情のコントロールを学んでもらう指導法などを想定している。

研修を終えた教員には「履修証明」も発行する方向だ。


 文科省は、通級指導の対象になる児童・生徒の決定基準や、

障害に応じた指導計画作成方法などをまとめた事例集も策定する方針だ。

国から自治体に周知して、通級指導制度の浸透を図る狙いがある。


  同省によると、通級指導を利用する公立小中学校の児童・生徒は、

08年の約5万人から17年までに2倍以上に増えた。


 こうした現状を受け、政府は17年度からの10年間で、

通級指導を行う教員数を、児童・生徒13人あたり1人となるよう増員する計画だ。  


◆通級指導=注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症といった発達障害や弱視、難聴などの障害を持つ子どもが、通常学級に通いながら、別室や放課後などを利用して特別な指導を受ける制度。保護者の理解が進んだことを背景に、利用する児童・生徒は増加している。




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