共同通信社 2019/2/13
若者11億人に難聴の危険
【ジュネーブ共同】
世界保健機関(WHO)は12日、スマートフォンなどの携帯音楽機器で
長時間、大音量の音楽を聴き続けると聴覚障害になる恐れがあるとして、
音量制限機能などの搭載を求める国際基準を発表した。
現状では、世界の若者(12~35歳)の半数近くに当たる
11億人が難聴になる危険性が高いと警告した。
国際基準は国際電気通信連合と共同で策定。
安全利用の目安を大人で音量80デシベル、
子どもで75デシベルを1週間に40時間までとし、
機器にどの音量をどのくらい聴いたか明示する
機能を付けるべきとしている。
大音量で聴き続けた場合、自動的に音量を下げる機能も必要とした。
AFPBB News 2019年2月13日
スマホで聴く音楽に難聴リスク 「音量下げて」WHOが警告
スマートフォンを使って音楽を聴く女性(2013年3月7日撮影、資料写真)。
(c)JONATHAN NACKSTRAND / AFP
【2月13日 AFP】国連(UN)は12日、10億人以上の若者が
スマートフォンやその他オーディオ機器の大音量での使用による
聴覚障害のリスクにさらされていると警鐘を鳴らした。
UNは安全な音量レベルに関する新たな安全基準を提案している。
UN専門機関の世界保健機関(WHO)と国際電気通信連合(ITU)は
聴覚を守ることを目指し、オーディオ機器の製造と使用に関する
拘束力のない国際基準を発表した。
音楽鑑賞においては、特に若者がリスクを伴う習慣に陥りやすい。
WHOによると、12~35歳の約半数に当たる11億人に
「大きな音に長時間にわたって過剰にさらされる」恐れがあり、
個人用オーディオ機器もこうしたリスク要因の一つと指摘された。
しかし、WHOのテドロス・アドハノン(Tedros Adhanom)事務局長は、
世界にはすでに「難聴を防ぐための技術的なノウハウ」があると話す。
同事務局長は声明を発表し、
「これほど多くの若者が音楽を聴く間に自身の聴覚に損傷を与え続けるようなことが
あってはならない」
と述べ、若者は
「ひとたび聴力を失えば回復は困難であることを理解しなければならない」
と続けている。
現在、世界人口の約5%に当たる約4億6600万人が、日常生活に
支障をきたすほどの難聴に悩まされている。
この中には3400万人の子どもが含まれるが、WHOによると、
そのうちどれだけの人がオーディオ機器の危険な使用によって
聴力を損傷したのかは分からないという。
しかし、ITUと共同で策定した今回の新基準によって、
「日々、音楽を楽しむ若年消費者層を守ることができるだろう」
と期待を寄せる。
WHOは、85デシベル(dB)超で8時間、
100dB超で15分の音量にさらされるのは安全でないとみなしている。
■速度計のない車で高速道路を走行するようなもの
今回発表した安全基準
「Safe listening devices and systems(安全なリスニング機器とシステム)」では、
全てのオーディオ機器に「許容音量」を制御する
ソフトウェアの組み込みを求めている。
その目的は、ユーザーがさらされている音量と継続時間を追跡し、
ユーザーの聴力に与えるリスクを評価することだ。
このシステムを活用することで、危険な音楽鑑賞習慣に陥っているユーザーに
注意を促すことも可能になると考えられる。
WHOはまた、危険な使用を防ぐために、オーディオ機器に対する
音量のペアレンタルコントロール(親による制限)機能と
自動音量制限機能も導入するよう提言している。
一部のスマートフォンや他のオーディオ機器では、すでに
こうした機能が提供されているが、深刻な聴力低下を防ぐためには、
統一された基準を採用することが望ましいと国連は指摘する。
WHOのシェリー・チャーダ(Shelly Chadha)氏は、
スイス・ジュネーブ(Geneva)での記者会見で、
「この状況は、速度計や速度制限機能のない車で高速道路を走っているようなものだ」
と話した。
「WHOが提案しているのは、どれだけの音量が出ているか、制限を超えていないかを
ユーザーに知らせる速度計…すなわち測定システムをスマートフォンに取り付けた状態で
販売することだ」
(c)AFP
0コメント