あのホラー映画の長女役。ミリセント・シモンズってどんな子?

VOGUE JAPAN   OCTOBER 2, 2018


 エミリー・ブラント主演の新体感サバイバルホラー映画『クワイエット・プレイス』(18)。

音を立てたら即死、という極限状態で沈黙の生活を続ける一家の長女を演じた

ミリセント・シモンズは、聴覚障害があり、手話でコミュニケートする。

 今春公開の映画『ワンダーストラック』(17)でも注目された15歳の新進女優をチェックして


沈黙の世界をリアルに表現。

映画『クワイエット・プレイス』(18)のワンシーン。
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.


 映画『クワイエット・プレイス』(18)は、音に反応して人間を襲う

“何か”が猛威をふるう世界で生き残った一家の物語。


 ミリセント・シモンズは、エミリー・ブラントとジョン・クラシンスキー

(実生活でもエミリーの夫)演じる夫妻の長女で、生まれつき

聴覚障害のある少女リーガンを演じた。


  監督も務めたジョンは、リーガン役について実際に聴覚障害を抱えた俳優の起用を望み、

ミリセントを強力にプッシュしたという。 

 

 声を発せずとも、手話と全身でキャラクターの気持ちを伝える

エモーショナルかつリアルな演技は必見だ。 


 小さな物音さえ出すことさえできない状況下で、一家のコミュニケーション手段は、

手話という設定。

 撮影現場ではミリセントがスタッフ、キャストに手話を教えることもあった。


 劇中、リーガンと父親が対立するシーンでは

「私がパパと喧嘩するときはこんな感じ」

と手話でのやりとりを細かく解説するなど、大いに貢献。

「彼女が映画に深みを与えてくれた」と脚本家のブライアン・ウッズと、

スコット・ベックもミリセントの存在を大絶賛している。

映画『クワイエット・プレイス』(18)のNYプレミアに参加したミリセント・シモンズ。Photo: Dia Dipasupil/WireImage


オーディションを勝ち抜き、映画初出演作で大抜擢。


 ミリセントは、2003年にユタ州に生まれた15歳。5人きょうだいの真ん中で、

今も家族とユタ州に暮らしている。

 生後12か月で投薬過多により聴覚を失った彼女は聾学校に通い、そこで演劇部に参加。

シェイクスピアの「真夏の夜の夢」のパック役で注目され、彼女と同じく

耳が不自由な学生が作った短編映画にも出演した。


 演技を志すきっかけになった作品はケイト・ブランシェット主演の映画

『ブルー・ジャスミン』(13)。

「あの作品での演技に打ちのめされた」そうだ。 


 その後、公開オーディションを経て映画『キャロル』(15)の

トッド・ヘインズ監督の映画『ワンダーストラック』(17)で映画デビュー。


 250人以上の候補の中から大抜擢された彼女は、耳が聞こえず、

裕福ながら親の愛に恵まれずに暮らす少女を熱演。

多くの映画賞で新人賞にノミネートされた。 

>>>映画『ワンダーストラック』(17)の予告はこちらから。


手話の啓蒙活動にも熱心。

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 ミリセントの両親は娘の障害に気づいた時、すぐに手話を学び始めたが、

実はアメリカでは多くの聴覚障害者が家族と手話で

コミュニケーションできずにいる現実がある。


 彼女の通う聾学校でもそういう環境の生徒が少なくなかったことから、

ミリセントは手話の啓蒙活動にも熱心に取り組んでいる。


  YouTubeにチャンネルを開設して、幼い妹と一緒に簡単な手話を紹介したり、

聾のアウェアネス月間だった9月には、ミリセントは手話をテーマにした

Tシャツを着た写真をインスタグラムにアップしてアピール。


 手話について「知りたいことをコメント欄に書き込んで!」と語りかけた。


住んでみたい街はニューヨーク。その理由は?

 美しい自然に囲まれたユタ州で家族と穏やかな日常を過ごしているミリセントは、

旅行が好きで世界を旅するのが夢。

 歴史が好きなのでエジプトに行きたいというが、実は住んでみたい場所はニューヨーク。


 映画『ワンダーストラック』(17)の撮影でしばらく滞在し、

メルティングポットと称されるNYの多様性に魅了されたという。


「いろいろな宗教や食文化。特に食文化」という可愛らしい理由も。

お気に入りはチャイニーズで、チャイナタウンにも行ったそう。

「あそこで食べると、人生が変わるわよ」

と語っている。


ロサンゼルス映画祭で受賞。将来を嘱望される15歳。

 8月に『Hollywood Reporter』誌が特集した18歳以下のスターTop30

の1人に選出され、9月23日(現地時間)にロサンゼルス映画祭で

「The New Wave」賞を受賞した。


 多様なグループから輩出された才能ある若手俳優を表彰するもので、

ミリセントは映画『クワイエット・プレイス』(18)の演技が評価された。 


 TVドラマ「ウエストワールド」のレオナルド・ナム、

映画『トランスフォーマー』シリーズの最新作映画『バンブルビー』(18)

のジョージ・レンデボーグJr.とともに受賞した彼女は


「素晴らしい人たちと一緒に受賞できて、とても光栄です」

とインスタグラムで喜びを表明した。


  プロの女優になると思っていなかったが、今は演技を続けていきたいと考えている。

15歳という若さだが、聴力障害のみならず様々なハンディキャップを持つ人々を

代表する声となる使命感を感じているというミリセント。


今後も出演作を吟味して、息の長い活躍が期待したい。




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