「知らない間に不妊手術」聴覚障害の夫婦が国提訴 大阪

朝日新聞デジタル  2019年1月30日


 旧優生保護法のもとで不妊手術を強いられ、憲法13条が保障する

幸福追求権などを侵害されたとして、大阪府内の聴覚障害のある70代の夫婦が30日、

国に計2200万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。 


 訴状によると、妻は妊娠9カ月だった1974年、

胎児に異常があると言われて帝王切開で出産。


 数日後に子どもは亡くなったと聞かされた。その後子どもができないことを不審に思って

母親に相談したところ、「赤ちゃんはもうできない」と、

夫婦とも知らない間に不妊手術をされたと聞かされたという。


  夫婦は、同意なく妻が子どもを産めない体にされ、精神的苦痛を負ったと主張し、

国に慰謝料などの支払いを求めている。 


 夫婦は提訴後に大阪市内で記者会見し、

「今も子を産み育てたかったという気持ちがある。国には謝罪をしてほしい」

と訴えた。 


 夫婦の代理人を務める旧優生保護法被害訴訟大阪弁護団は

土日を除く午後1~4時、大阪弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター

(06・6364・1251)で相談を受け付けている。

(大貫聡子)






毎日新聞  2019年1月30日


強制不妊 聴覚障害の女性が国を提訴 大阪地裁


 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたとして、

聴覚障害のある大阪府内の女性(70代)が30日、夫(同)と共に、

国に計2200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。


 大阪市内で記者会見した女性は

「障害を理由に不妊手術を受けさせるのは差別だ」

と手話で訴えた。  

提訴後、手話で記者会見する原告
=大阪市北区で2019年1月30日午前10時18分、梅田麻衣子撮影


 弁護団によると、旧法を巡る訴訟は全国7地裁で起こされており、

聴覚障害者の提訴は4組目。 


 訴状によると、夫婦はいずれも耳が聞こえず、70年に結婚。

3年後に妊娠して帝王切開で出産したが、子どもは亡くなり、

自身も高熱が続いて入院した。


  夫婦はその後も子どもを望んだが妊娠しなかった。

不審に思った女性が母親に相談すると、入院時に不妊手術をしたと聞かされた。 


 憲法が保障する自己決定権やリプロダクティブライツ

(性と生殖に関する権利)を侵害されたなどと訴え、96年の

旧法改正後も救済措置を怠ってきた国や国会の不作為を追及している。


  夫婦は旧法の存在を最近まで知らなかったが、聴覚障害を持つ

他の夫婦が裁判を起こしたことを報道で知り、他の裁判も傍聴して提訴を決意したという。


  提訴後の記者会見で妻は

「子どもを産んで2人で育てたかった。説明もなく手術を受けさせられ、すごくショックだった」

と涙を拭った。

  夫も「望んだ子どもを持てず、悔しい気持ちを持ち続けてきた。国には謝罪してほしい」

と訴えた。

【戸上文恵】





YOMIURI ONLINE  2019年01月30日


強制不妊、大阪の夫婦提訴…聴覚障害で4例目

 旧優生保護法の下で聴覚障害を理由に不妊手術を強制されたとして、

大阪府内に住むいずれも70歳代の夫婦が30日、国に慰謝料など

計2200万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。


 弁護団によると、全国の原告は全国7地裁で計19人になった。

聴覚障害を巡るケースは4例目。  


 訴状によると、聴覚障害を持つ夫婦は1970年に結婚。

妻は74年に近畿地方の病院で帝王切開で出産したが、子は間もなく亡くなった。


 その頃、この病院で不妊手術を受けさせられ、出産する権利が奪われたとしている。 

 提訴後、夫婦は大阪市内で記者会見を開き、手話で

「子どもが欲しかった。国は謝ってほしい」と訴えた。


  妻は第1子を失ってから約1年後、実母から不妊手術を受けたことを知らされたといい、

「行き場のない怒りで泣いた。手術が差別だということを裁判で訴えたい」

と強調。

夫も「(手術の)説明はなかった。今も苦しい気持ちでいる」

と心情を表した。




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