北陸中日新聞 2019年1月27日
手話によるろう文化の豊かさを描いたフランスのドキュメンタリー映画
「ヴァンサンへの手紙」の上映が二十六日、金沢市香林坊のシネモンドで始まった。
初日は、自らもろう者で映画を配給した牧原依里さんが手話で舞台あいさつし
「一人一人の違いを知ることが共生社会のヒントになる」とPRした=写真。
上映は二月一日まで。
手話は、一八八〇年のろう教育者国際会議でろう教育には
矯正で発話する口話法が優れていると決議されたため、
国際的に長く教育現場で抑制されてきた。
牧原さん自身、両親がろう者で家庭では手話を使っているのに
小学生時代のろう学校では手話を使えず、「理由が分からなかった」という。
映画は聴者であるレティシア・カートン監督が、友人であるろう者の
ヴァンサンの自死をきっかけに、手話を母語として生きる
ろう者たちの生き生きとした世界を追う。
「聴者である監督が、ろうの世界を敬意をもって、ありのまま撮ってくれたのが良かった」
という牧原さん。
「ろう者と聴者、障害のあるなしというより、一人一人が違うということを描いている。
その違いを知り、理解することが共生社会を考えていくヒントになるのではないか」
と語り掛けた。 (松岡等)
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