日経 xTECH 2019/01/16
さまざまな外部環境音の中から
危険な情報だけを選んで光や振動に変換
韓国・現代自動車(Hyundai Motor)は2019年1月10日、
聴覚障害のあるドライバーを支援する新しい技術を発表した。
車を運転している時、緊急車両のサイレン、音声ナビゲーション、
車両からの注意喚起を促す警告音、踏切音、他車からのクラクションなど、
様々な情報が音で伝えられる。
同社が開発したのは、こうした音情報を、主に視覚と触覚に置き換えて
ドライバーに伝える技術だ。
危険を知らせる音をステアリングホイールに色で表示 左に車線変更をするとき、
他車がいなければブルー(上)が、他車が警笛を鳴らした場合は赤色(下)が表示される。(写真:Hyundai Motor)
まず人工知能(AI)を使って、聞こえてくる音のパターンを分析し、
ドライバーに伝えるべき情報かどうかを判断する。
次に情報によって、音から視覚(Audio-Visual Conversion;AVC)に変換すべきか、
または音から触覚(Audio-Tactile Conversion;ATC)に変換すべきかを判断する。
例えば、緊急車両などの警告音を検知した場合は、AVCを使って
ヘッドアップディスプレイ上にピクトグラムを表示する。
また、ステアリングホイールに多色LEDを装備し、ナビゲーション情報などを色で示す。
ATCの例としては、障害物までの距離など、通常であれば
音声や警告音で通知される情報を、ステアリングホイールの振動に変換して、
ドライバーに知らせる。
AIを使って判断 様々な外部音の中から運転者に伝えるべき重要な音を選びだす。
(写真:Hyundai Motor)
同社は、ソウルでタクシー運転手をしている聴覚障害者のDaeho Lee氏に、
この技術を搭載したタクシーを運転してもらい、有効性を調査している。
Lee氏は、他車のクラクションや緊急車両のサイレンが聞こえないことで、
これまでに他のドライバーとトラブルになったことがあるという。
また、外部情報を視覚のみに頼っていたため疲労が大きい。
現代自動車は、この運転支援技術のほかに、タクシーの乗客との
コミュニケーションを可能にするアプリケーションも開発しているという。
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