宮城 共生社会に向け県条例骨子案

NHK NEWS WEB 東北 NEWS WEB  12月27日


 障害者と健常者がともに暮らしやすい社会の実現に向けて、県は、県民にも

障害者に対する不当な差別を禁止することなどを盛り込んだ

条例の骨子案をまとめました。 

 これは27日、県が大学教授や障害者団体の代表などによる検討会で明らかにしました。 


それによりますと、条例の目的について、「障害の有無によって分け隔てられることなく、 互いに人格と個性を尊重し、共に生きる社会の実現」としています。 


 また、条例の骨子案として、県民が障害者を不当に差別することを禁止し、

当事者などが県に助けを求めた場合は、専門家で構成される「調整委員会」

で検討して解決案を示し、相手が正当な理由なく解決案に従わなかった場合は

勧告や公表を行うことを盛り込みました。 


 さらに手話を言語として認め、普及や通訳者の教育に取り組むとしています。 

これに対し、出席した委員からは、事業者に対し合理的な配慮を義務化することや、

手話について単独の条例として制定することなども検討すべきだ

といった意見が出されました。 


 検討会の会長の東北学院大学経済学部の阿部重樹教授は、「条例制定に向け、

具体的な一歩が踏み出せてよかった。共生社会の実現へ大きな意味を持つ取り組みが

始まるのではないか」と話していました。 

 県は、来年度以降に条例の素案をまとめることにしています。 


検討会を傍聴した宮城県聴覚障害者協会の小泉正壽さんは、

「現状では、聴覚障害者は健常者と同じレベルの情報が得られていない。

東日本大震災でも聴覚障害者は非常に混乱し、情報がなく、災害放送も聞こえないまま、

亡くなった方がたくさんいた。条例によって、積極的に手話を学ぶ人が増え、

社会で理解が広がると期待している」

と話し、手話を言語として認め、普及や理解を促進していく

条例の必要性を強調しました。


  一方で、「県が示した条例では手話が一部になってしまっていて、手話普及の

必要性が県民に見えにくい。理解広めるためには単独である必要がある」と述べ、

障害者差別の解消へむけた条例の一部ではなく、単独の「手話言語条例」の制定を求めました。




河北新報オンラインニュース  2018年12月28日


「手話も言語施策展開」 宮城県、差別解消条例で骨子案


 宮城県は27日、障害を理由とする差別の解消を目指す県条例の骨子案を示した。

2016年に施行された障害者差別解消法を補い、手話などで情報を提供する

「情報保障」を推進する内容。

 早ければ20年度の制定を目指す。 


 骨子案では、不当な差別的取り扱いを禁止する対象について、差別解消法が

定める行政と事業者だけでなく、県民まで広げて共生社会の実現を図る。

 差別的な扱いがあった際に解決策を提示する第三者機関の設置も盛り込んだ。 


 情報保障に関しては、県が手話を言語として取り扱い、県民に周知するために

必要な施策を展開することを明示。

 障害のある人に配慮した情報提供方法の普及や手話通訳の養成も図るとした。


  県によると、手話に対する理解を深め、普及促進を目指す「手話言語条例」は、

障害者差別解消条例と一体の場合も含め26都道府県で制定されている。 

 骨子案は仙台市内で同日あった障害者施策推進協議会で示した。


 県は、関係団体などへの聞き取りのほか、19年2月に県内7地域で

意見交換会を開き、広く意見を募る。

 同3月末までに骨子案を正式にまとめる。 


 協議会で渡辺達美保健福祉部長は

「当事者や関係者団体と議論を尽くして策定したい。他県では(制定までに)

1~2年が掛かっている」と述べ、制定は最短で20年度になるとの見込みを示した。 


 協議会に出席した委員からは、職員の研修を求める意見や、

差別解消条例と手話言語条例を分けて制定するよう要望が出た。




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