毎日新聞 2018年12月23日
えええ「かわいい子どもたちが遊んでいるのを見るのは楽しいものです。
でも今は、もう遅いです」。
悔しそうにゆがめた顔と、力強く動く手。
放たれた「声」の重さに、胸が潰れる思いだった。
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術や人工妊娠中絶を
強いられた人たちの国家賠償請求訴訟が相次ぐ中、
9月に県内の聴覚障害者夫婦2組も続いた。
明石市の小林喜美子さん(86)は神戸地裁に提訴後の会見で手話で訴えた。
提訴後の会見で思いを訴える小林喜美子さん(左)と夫の宝二さん
=神戸市中央区で2018年9月28日、反橋希美撮影
小林さんは夫の宝二(たかじ)さん(86)と結婚後ほどなく妊娠。
「赤ちゃんが腐っている」と聞かされて…
神戸新聞NEXT 2018/12/26
手話で「悲しみ消えない」
強制不妊手術、聴覚障害で全国初の弁論
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を受けさせられたのは
憲法違反として、聴覚障害のある兵庫県内の夫婦2組が国に
計4400万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が26日、
神戸地裁(山口浩司裁判長)であった。
旧優生保護法を巡る裁判で神戸地裁に向かう原告と弁護士ら
=26日午前9時28分、神戸市中央区橘通2
同法を巡っては、全国6地裁で男女15人が同様の国賠訴訟を起こしている。
原告は明石市の男性(86)と妻(86)夫婦と県内在住の70代夫婦。
訴状などによると、説明なしに不妊手術を受けさせられたとして9月、
「憲法に違反し重大な人権侵害」と提訴した。
原告側は「(旧法下の)手術は個人の尊厳に反し、生殖に関する自己決定権を侵害する」
と主張。
「被害回復せず放置したのは違法」「手術を積極的に進めた」などと国の責任を追及した。
明石市の男性の妻は同時に中絶手術も受けた。
この日の弁論では、男性が手話で「私たちの悲しみや寂しさは消えることはない」と訴えた。
国は旧法が違憲かどうか直接言及せず「不作為に違法はない」とし、
損害賠償請求権があっても手術時から除斥期間(20年)で「消滅している」と反論した。
同様の裁判で聴覚障害者が原告となるのは全国初。
法廷では、手話通訳が後方の傍聴者からも見えやすい位置で立てるように
するなどの配慮がなされた。
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