朝日新聞デジタル 2018年12月17日
ろうの女性が電話リレーサービスの実演をし、スクリーンに手話通訳オペレーターとのやりとりが映し出された=2018年12月16日午後2時23分、岡山市北区南方2丁目、中村通子撮影
パソコンやスマホなどを使い、聞こえない人と聞こえる人の
通話を通訳オペレーターが仲介する「電話リレーサービス」の
提供が今秋から岡山県内でも始まった。
全日本ろうあ連盟と県聴覚障害者福祉協会が16日、使い方の学習会を
岡山市内で開き、約100人が参加。
「電話」という新しい世界への扉を開いた。
電話は世界で最も普及している通信機器だが、聴覚に障害がある人にとっては、
社会参加の大きな壁になっている。
日本財団は2013年から電話リレーサービスのモデルプロジェクトを始めた。
11年の東日本大震災で被災した聴覚障害者たちの
コミュニケーション支援がきっかけだった。
聴覚障害者がインターネットで通訳事業団体にアクセスし、電話をかけたい
相手先を入力すると、通訳オペレーターが電話をかけ、通話を手話か
文字チャットで仲介する仕組みだ=図。
今年、日本財団のモデルプロジェクトを利用する自治体の情報提供施設に対し、
厚生労働省が補助金を出すことになり、岡山など12道府県7団体が
サービス提供を始めた。
この日の学習会では、その場で自分のスマホを取り出し、利用登録を始める人も。
倉敷市の木版画家安藤昌平さん(82)は、すでに何度か使ったことがあるが、
より詳しく知りたくて参加したという。
「ホテルの予約がとてもスムーズで、なんて便利だろうと思いました」と話す。
講師の川森雅仁・慶応大特任教授は、海や山で遭難した聴覚障害者が、
リレーサービスを使った通報で救助された事例を紹介。
「緊急通報が音声でしかできない現状は問題だ。国全体の制度にする必要がある」
と強調した。
安倍晋三首相が11月、参院予算委で、電話リレーサービスを
公共インフラとし、総務省が担当することにしたいと発言したことにも触れ、
制度化への一歩として期待を寄せた。
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