【海外】聴覚障害者に希望の光を灯す「無音のレストラン」

新華社  2018/12/15


聴覚障害者に希望の光を灯す「無音のレストラン」10日、北京市の798芸術区にある「原諒小串」レストラン。(北京=新華社記者/馬岩) 

  

【新華社北京12月15日】

 中国北京市の798芸術区に小さな四川火鍋店がある。

一般的なレストランと異なるのは、そこが「無音」のレストランで、

スタッフの大部分が聴覚障害者という点だ。  


 「原諒小串」というこのレストランは、魯露(ろ・ろ)さん(30)が今年7月に開業した。

今では名が知られるようになり、普段は1日約100人、週末には1日200人以上が訪れている。  

聴覚障害者に希望の光を灯す「無音のレストラン」 聴覚障害者のスタッフと記念撮影する創業者の魯露さん(中央)。(9月撮影)(北京=新華社配信/魯露より提供)


 魯さんはレストランの名前について、

「原諒(容認すること)は私たちが持つべき品性です。聴覚障害者である彼らは、

自分自身を受け入れるしかありません。彼らは私たちを鼓舞し、より美しいことへの

関心を抱かせること、それから、世間の多くの不完全な事柄を平常心で受け入れて

容認することを私たちに教えてくれた」

と語った。  


 「原諒小串」では開店準備期間中、聴覚障害者のスタッフとの意思疎通や研修、

作業方法の面で多くの課題に直面した。


 一部のスタッフは接客に必要な自信と勇気を持っておらず、その心理的な問題は

魯さんの予想をはるかに上回っていた。

 この課題を克服するため、魯さんは心理学の知識を活用して、毎日数時間かけて

スタッフにカウンセリングを行い、店内に「思いやりと励ましの壁」を設置した。 



聴覚障害者に希望の光を灯す「無音のレストラン」 10日、来店客のメッセージでいっぱいになった「原諒小串」内の「思いやりと励ましの壁」。(北京=新華社記者/馬岩) 


 この壁について魯さんは

「店で食事したお客さんは、紙に励ましの言葉を書いてこの壁に貼れば、

6~9元(1元=約16円)の火鍋調味料が1元になります」と説明した。


  やがて「思いやりと励ましの壁」は激励と祝福の紙でいっぱいになり、

スタッフはそれを見て、感極まって涙を流し、次第に自信を持つようになっていった。 


聴覚障害者に希望の光を灯す「無音のレストラン」 10日、来店客と聴覚障害者スタッフのコミュニケーションに使われるプレート。北京=新華社記者/馬岩)  


 魯さんは「原諒小串」という公益ブランドの普及を進めており、

今後は京津冀(北京市・天津市・河北省)エリアに300店前後のチェーン店を開業し、

2千人以上の聴覚障害者を迎え入れることを計画している。

 魯さんによると、聴覚障害者から数えきれないほどの申し込みが届いており、

メールボックスがいっぱいになっているという。 


 魯さんにとって公益事業は

「何よりも大きな満足感を与えてくれるもの」になっている。

 (記者/馬岩)




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