<知事選>障害者の情報保障に課題

佐賀新聞LiVE   12月14日


市町や候補者で対応ばらつき

 16日に投開票を迎える佐賀県知事選挙は、県の手話言語条例、

障害者差別解消条例が施行されて初の選挙となる。

障害者は、障害種別によって、選挙情報の取得や投票所へのアクセス

などさまざまな困難がある。


 選挙公報の点字化など情報を得やすくする「情報保障」の取り組みは

市町によってばらつきがあり、手話通訳は候補者によって対応が異なる。


 代筆による代理投票は「投票の秘密」が守られないとして、

押しボタン式投票の検討を求める声もある。  


 視覚障害者は、選挙に関する情報の把握と投票時に困難を伴う。

県視覚障害者団体連合会によると、佐賀市は市報選挙特集号を点字、音声化しているが、

市町によって対応が異なるため、市町選挙では情報把握が難しくなるケースがあるという。


 同連合会の森きみ子会長は、投票所が混雑しない期日前投票を利用することが多く、

今回の知事選でも投票日に所用があるため期日前投票をした。 


 視覚障害に限らず、手に障害がある人や知的障害者は代筆で投票する場合がある。

森会長は「投票の秘密」が守られない可能性があるため、

「障害の有無に関わらずに投票できる押しボタン式などを検討してほしい」と求める。


また聴覚障害者は、候補者の肉声を聞くことができない。

 出陣式や決起大会では、手話通訳者が同席するケースがあり、

今回の知事選でも手話通訳の姿が見られる。


 県聴覚障害者協会の中村稔理事長は

「通訳がなければ何のメッセージも届かない。通訳の有無も候補者の政治姿勢として映る」

とした上で「政見放送の字幕と手話通訳は、候補者の任意ではなく必須にしてほしい」

と法整備の必要性を訴える。


  一方で県内には手話通訳士が6人しかおらず、うち2人は公務員のため

選挙運動には関われない。

 今回は一騎打ちの構図だが、候補者が乱立した場合は通訳者確保が難しいケースが出てくる。

中村理事長は「通訳者育成や公的機関の対応で課題は多い」と指摘する。 


 佐賀市の知的障害者入所施設「めぐみ園」では7日、利用者約80人の前で

職員が県知事選の選挙公報を読み上げた。

難しい用語は平易な言葉に言い換える。

知的障害者の入所施設で佐賀県知事選の選挙公報を読み上げる職員=佐賀市のめぐみ園 


 一方の候補者に有利にならないよう配慮する。

「投票所で、候補者の名前を2回指さしてください」。

代筆となる投票方法も伝えた。 


 投票所側と事前に連絡を取り、混雑しない日時に期日前投票を利用する。

本人たちに投票に行くかどうか意思を確認し、投票所に向かう車を手配する。

 森永弘太施設長は

「投票も重要な社会参加。権利行使の意思を尊重するのも施設の役目」

と話す。




0コメント

  • 1000 / 1000