YOMIURI ONLINE 2018年12月13日
ろう者のなかにもLGBTQ(性的少数者)の当事者がいることに
目を向けてもらうためのイベントが来月6日、春日市のクローバープラザで開かれる。
当事者の一人としてトークショーに参加する野村恒平さん(32)(福岡市)は
「聞こえない世界で生きる当事者の状況を知ってもらいたい」と来場を呼びかけている。
(今村知寛)
「ろう者の中にもLGBTQ当事者がいることを知ってほしい」と語る野村さん
イベントは、福岡聴覚障害者団体連合会(春日市)が企画した。
野村さんは日常生活で手話を使っており、聴覚障害者団体で働いている。
手話を使うろう者や手話通訳者などにLGBTQについての
正しい知識や手話表現を伝えようと、当事者団体「Deaf LGBTQ Fukuoka」
を4月に発足。
県内の手話サークルなどでの講演や当事者の居場所づくりに取り組んでいる。
野村さんによると、現在使われている手話では、男性は親指、女性は小指で
示すなど男女の性別がはっきり分かれており、トランスジェンダーの人などを
気づかないうちに傷つけている可能性がある。
最近は多様な性をあらわす手話表現も出てきているが、そうした知識のある
手話通訳者はまだ少ないという。
トランスジェンダーの当事者からは「救急搬送された際に自分の状況がうまく伝わらず困った」
といった声も寄せられている。
また、地域のろう学校が限られるなどコミュニティーが狭いため、当事者だと
知られることを恐れ、孤立しやすいという問題もある。
野村さんは
「手話を使う世界で生きていけなくなることを恐れて苦しんでいる人が多い」と語る。
イベントではほかに、自身もろう者で、ろう者のLGBTQをテーマに
映画を制作した今井ミカさんや、米国の大学で「ろうLGBTQ学」を修了し、
大阪を中心に啓発活動を行う山本芙由美さんがそれぞれの経験を語る。
前売りは一般2500円、大学生以下1000円。
当日参加も可能で一般3000円、学生1300円。未就学児は無料。
問い合わせは同連合会
(ファクス092・588・0250、メールfkchoren@aurora.ocn.ne.jp) へ。
◆LGBTQ
レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)の頭文字に加え、どちらの性でもなかったり分からなかったりする「クエスチョニング」を意味する「Q」をつけた総称。
0コメント