withnews 2018年12月12日
聴覚過敏保護用シンボルマーク。症状のある女性がヘッドホンに貼っている
=詫磨一紫さん提供
昨年秋以降、街中ではあまり見慣れないシンボルマークがネット上で拡散しています。
投稿されているのは標識などの製作会社が作ったうさぎのマーク。
見た目では理解されにくい「ある障害」を持つ少年が、周りから
心無い言葉を受けたのがきっかけでした。
手がけた社長は「『マーク屋』として解決すべき役目を感じた」と言います。
ツイッターによって生まれたムーブメントから、障害者を示す
「マーク」について考えてみました。
苦手な音を防ぐ「保護具」
ツイッターで話題になっているのは、苦手な音を防ぐためのイヤーマフなど、
聴覚過敏対策の「保護具」を表した「聴覚過敏保護用シンボルマーク」。
作ったのは、大阪市北区で標識や銘板などを手がける会社「石井マーク」です。
聴覚過敏とは、会話をしている相手の声と周囲の環境音が同じ大きさで
聞こえてしまったり、とても苦手な音があったりする症状で、発達障害の
自閉症スペクトラム(ASD)の症状としてあらわれることもあります。
石井マークの聴覚過敏保護用シンボルマークをステッカーにしたもの。
「石井マーク」が、聴覚過敏保護用シンボルマークをつくったきっかけは、
ツイッターでのあるつぶやきでした。
昨年9月、防音イヤーマフを使用する息子を持つ保護者が
「ヘッドホンで音楽を聴かせず会話をしなさい」と言われたことから、
「防音イヤーマフへの理解が広まってほしい」と訴えるつぶやきをツイートしました。
リツイートは9万7000回以上にのぼり、投稿を知った看護師が
石井マークの公式ツイッター(@ishiimark_sign) に
「何かいいマークありますか」と投げかけたのが始まりです。
石井マークの石井達雄社長は、
「実はそうしたシンボルマークは以前からいくつか存在していましたが、
『誰もが知っている共通のシンボル』としては浸透していません。
『マーク屋』としてその問題を解決すべき役目を感じた」
と話します。
バリエーション豊富な理由
石井マークのツイッターアカウントでは、看護師からの投げかけに応じるかたちで、
いくつかのデザインを例示したところ、
「小学生のためにひらがなバージョンもほしい」という声などを受け、
現在7~8種類(カラーバリエーションを含めると50種類以上)が用意されています。
マークには、いずれも、保護具を装着したうさぎが描かれており、
その周りに文言が添えられています。
文言は、「苦手な音を防いでいます 聴覚過敏保護用」や
「このままで聞こえます・話せます 会話できます 聴覚過敏保護用」など、
複数のパターンがあります。
文言を多く用意している理由について石井社長は
「使う人の症状、シチュエーション、伝える相手も異なるから」
と説明します。
聴覚過敏保護用シンボルマークのデータは、石井マークのホームページで
無償で公開されている
また、石井社長は「文字はこのマークにおいて重要」と話します。
「聴覚過敏そのものの理解が浸透していないので、絵記号だけで説明することはできません。
文字だけでは読まれず、絵記号だけではなんのことかわからない。組み合わせることによって、
広く周知する手段になります」
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