毎日新聞 2018年12月5日
2020年東京五輪・パラリンピックに向けて国内各地で実施する文化プログラム
を視野に、障害者の参加をサポートする取り組みが進んでいる。
10月には花火、11月には和太鼓の公演を特殊な機器やアプリを通じて
体験してもらう試行イベントが開かれた。
東京大会を契機に、競技観戦だけではなく文化の祭典でも
バリアフリー化の促進が期待される。
毎年夏に開催される「全国花火競技大会」(大曲の花火)で知られる
秋田県大仙市では、10月に障害者も楽しめる花火大会が行われた。
主催した日本花火推進協力会(東京都中央区)によると、高い音や
強い音でリズムを楽しんでもらえる視覚障害者向けの打ち上げ花火を披露したほか、
聴覚障害者には打ち上げのタイミングに合わせ、
振動の強弱で花火を体感できる機器を提供。
首からさげて使用するもので、参加者へのアンケートでは約9割から好評を得た。
東京都内で11月に開かれた和太鼓の演舞による「非言語パフォーマンス」では、
太鼓をたたく振動を感じ取れるヘアピン型の機器が提供された。
聴覚障害者向けのヘアピン型の機器。髪の毛につけると振動が伝わってくる=主催者提供
使用した聴覚障害者の女性は
「振動がうまく伝わってきて良かったです」と高評価。
このイベントでは会話を即座に文字へと変換する音声認識アプリが活用され、
場内アナウンスもスムーズに伝達された。
五輪憲章では「大会組織委員会は、短くともオリンピック村の開村期間、
複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならない」と明記し、
公式文化プログラムの実施を義務づけている。
東京大会に向けては、20年以降のレガシー(遺産)として
共生社会の実現を目指す「beyond2020」でも文化プログラムでの
障害者らへのサポートを促している。
イベントを委託した内閣府の担当者は
「20年に向け、障害者のサポート充実が急がれる。トライアル(イベント)
を通して内容の向上を図りたい」と話している。
【倉沢仁志】
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