神戸新聞NEXT 2018/11/13
旧優生保護法(1948~96年)の下、障害などを理由に
不妊手術が繰り返されていた問題で、聴力障害者協会や淡路地区手話サークルなど
4団体が11日、淡路市のしづのおだまき館で合同研修会を開いた。
国に謝罪と補償を求めて神戸地裁に提訴した聴覚障害者2組が
経験を語り、差別のない社会にするための協力を呼び掛けた。(高田康夫)
明石市の小林宝二さん(86)、喜美子さん(86)夫婦は1970年に結婚。
間もなく妊娠した。
だが、親に連れて行かれた病院では「赤ちゃんが腐っている」と言われ、
喜美子さんは何も分からないまま、中絶、不妊手術を受けさせられた。
宝二さんがおなかの傷跡に気付くと、喜美子さんの母親は手術を明らかにした。
「どうして」と問い詰めると、母親は「産みたいなら私を殺して」と言って押し黙り、
喜美子さんは泣き続けた。
「ずっと苦しいまま、ずっと黙っていた」と振り返った宝二さん。
喜美子さんは「皆さんは子どもを産んでいるのに私にはできない。年老いても子どもがいない。
黙ったまま死ねなかった」と胸の内を語った。
「淡路島でも不妊手術を受けたが、言えない人もいる。学校や仕事での差別もある。
皆さんと一緒に差別と戦っていきたい」とひょうご聴覚障害者福祉事業協会(洲本市)
の大矢暹理事長。
旧優生保護法下での不妊手術をめぐる裁判の意義を語る藤原精吾弁護士=しづのおだまき館
弁護団長の藤原精吾弁護士は「人を劣った人や優れた人に分ける、
障害者は子どもを持ってはいけない-。そう国民を教育してきた優生保護法は間違っていた。
考えを改めるよう訴える上で、この裁判の意義は大きい」
と話した。
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