大阪日日新聞 2018年10月22日
初の自主公演を盛り上げるメンバーら=6日、吹田市
大阪で手話を駆使したパフォーマンスが、盛り上がっている。
聞こえる人と聞こえない人の間にある心の“バリアー”を壊そうと取り組む
「手話エンターテイメント発信団oioi(おいおい)」(大阪市北区)。
今秋は初の自主公演に挑み、巧みに手話を扱う演者「HANDER」と
観客が一体になるステージを実現した。
団員らは「これがやりたかったこと」と大きな手応えを感じている。
同団は、聴覚障害のある・なしに関係なく学生や社会人、
フリーターなどさまざまなメンバー約30人が一緒になって活動。
週1回のパフォーマンス練習を行い、イベント出演を中心に
手話の楽しさを体感できるワークショップや講座を開催している。
■観客も一緒に
2016年4月に法人化し、活動はさらに充実。
自分たちで企画、実施するイベントは、活動理念の「バリアークラッシュ」を
発信する絶好の機会であり、悲願だった。
自主公演は「HANDER WORLD~手は口ほどにものを言う」と銘打ち、
6日に吹田市の江坂ホールで開催した。
「コント」「トーク」「トライ」の3部構成で、個性的なメンバーらが
切れのあるダンスや豊かな表情、手話を、パフォーマンスとして次々と披露した。
舞台上のスクリーンには、簡略化せずアドリブも含めてせりふや歌詞を掲示し、
“見る”人への心配りにもぬかりがない。
観客(後方)と出演者が一緒に手話パフォーマンスを繰り広げた=6日、吹田市
後半は、観客も日常の自然な動きと一致する手話に挑戦。
最後は立てた小指をあごにちょんちょんと当てる手話「いいよ」をマスターし、
人気バンドのウルフルズのヒット曲「ええねん」の大合唱でしめくくった。
■「前へ、前へ」
代表理事を務める岡崎伸彦さん(35)は、生まれたときから家族全員が
聴覚障害の「デフファミリー」で育った。
いつか疎外されるのではないかという「恐怖感」を抱えながらも、
そこから沈むのではなく、逆に「前へ前へ、自分が頑張らんとあかん」という
強いポジティブマインドを生み出した。
「めっちゃ笑ったわ」「次はいつ?」-。
公演終了後、スタッフらが見送りに立つロビーには、観客の満足の声があふれた。
岡崎さんは汗をぬぐいながら、
「みんなと一緒に力を合わせて、この手話の世界を広げていきたい」
と大きくうなずいた。
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