時事ドットコム 2018/10/15
聴覚障害を持つ俳優らで構成する演劇ユニットがこのほど、
筋ジストロフィーの女性が10年前の自分に向けて書いた本を
手話も交えながら朗読する劇を披露した。
東京都内の舞台で朗読されたのは、進行性の難病と闘いながら、
歌手や講演活動を続ける小沢綾子さん(35)=千葉県君津市出身=
の著書「10年前の君へ 筋ジストロフィーと生きる」(百年書房)。
文学座の女優金沢映子さん(左)から引き継ぐ形で、自分の本を朗読する小沢綾子さん
=2日午後、東京都中野区
筋ジストロフィーと診断され、目の前が真っ暗になっていた20歳の自分に
「安心して 10年後の君は 君が思っているほどに悪いものじゃないから」
と記し、前向きに生きることの大切さを訴えている。
2日に行われた舞台は、演劇ユニット「風の市(いち)プロデュース」を
主宰する聴覚障害者の庄崎隆志さん(56)が演出した。
コントラバスの演奏に合わせた人形劇で、小沢さんが診断時に
「5年後にはつえ、10年後には車いすになるかも」と医師から宣告された場面を表現。
続いて本の内容を女優らが手話と朗読で紹介し、最後は小沢さん本人が
昨年末ごろから使うようになった車いすで登壇、朗読を引き継いだ。
「音のない世界にいる人たちとつないでもらった」。
いつもは主に歌でメッセージを伝えている小沢さんが、同じ病気で亡くなった
知人が作詞した歌を披露すると、背景には歌詞が表示された。
筋ジストロフィーで亡くなった知人が作詞した歌「嬉し涙が止まらない」
を熱唱する小沢綾子さん=2日午後、東京都中野区
庄崎さんは「手話を使う私たちが、難病と共に生きる小沢さんと
手を携えて創り出した舞台。やってよかった」
とほほ笑んだ。
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