産経WEST 2018.9.28
聴覚障害者が初の提訴
同意なく不妊手術 兵庫の夫婦2組
旧優生保護法(昭和23~平成8年)下で同意なく不妊手術などを受けさせられた
兵庫県内の聴覚障害者の夫婦2組が28日、手術は自己決定権を保障する憲法に違反し、
法改正後も救済措置を怠ったとして、国に計4400万円の損害賠償を求める訴訟を
神戸地裁に起こした。旧法をめぐり聴覚障害者が訴えるのは全国で初めて。
原告は県内在住の70代夫婦と、同県明石市の小林宝二(たかじ)さん(86)と
妻、喜美子(きみこ)さん(86)。
訴状などによると、喜美子さんは妊娠後の昭和35年7月ごろ、
本人への説明や同意もなく中絶・不妊手術を受けさせられた。
70代夫婦の夫は結婚前の43年、同様に断種手術を受けさせられたという。
両夫婦は、証言や手術痕などを元に優生手術を受けたと主張。
憲法で保障する妊娠・出産を選択する自己決定権を不当に奪われたとしている。
提訴後に会見した宝二さんは「なぜ私たち夫婦に子供ができないのかと長い間、
苦しみ続けてきた。同じ境遇の障害者に代わって戦いたい」と話した。
旧法をめぐっては、別の女性2人もこの日、国に損害賠償を求めて
大阪地裁と仙台地裁に提訴した。
旧法をめぐる訴訟の原告は全国で計13人となった。
朝日新聞デジタル 2018年9月28日
強制不妊、聴覚障害者が初提訴
兵庫2夫婦 手話で会見
提訴のため神戸地裁に入る小林宝二さん、喜美子さん夫妻(中央)ら
=2018年9月28日午後、神戸市中央区、山崎毅朗撮影
河北新報オンラインニュース 2018年09月29日
<強制不妊手術>
宮城で3人目 女性が提訴
全国の原告計13人に
横断幕を掲げて仙台地裁に入る原告弁護団=28日午前10時55分ごろ
旧優生保護法(1948~96年)下で強制不妊・避妊手術が繰り返された問題で、
知的障害を理由に不妊手術を強いられた宮城県の60代女性が28日、
国に3300万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
60代と70代の女性2人が原告の同種訴訟が同地裁で係争中で、提訴は3人目。
兵庫県の夫婦2組も同日、聴覚障害者として初めて神戸地裁に、関西在住の女性(75)も
大阪地裁に相次いで提訴し、全国の原告は計13人になった。
仙台地裁に提訴した女性は69年に「中等度精神薄弱」と診断され、
77年に不妊手術を受けたとされる。女性の実妹は亡くなった母親から
「自治体職員に『障害年金を受給するには手術を受けるしかない』などと言われ、
やむを得なかった」と説明されたという。
実妹が今年3月、弁護団に相談し、宮城県への情報公開請求で手術記録を確認した。
女性は他の原告と同様に、国は手術による人権侵害の実態を旧法廃止前から把握し、
補償の必要性を認識していたと指摘。憲法が保障する幸福追求権に基づく自己決定権、
人格権の侵害を前提に、救済措置を怠り続けた政府と国会の立法不作為を主張している。
神戸地裁に提訴したのは、兵庫県内の70代の夫婦と、同県明石市の小林喜美子さん(86)と
夫宝二さん(86)。憲法違反で救済措置も怠ったとして、国に1人当たり1100万円、
計4400万円の損害賠償を求めた。
70代夫婦は68年ごろ、夫が不妊手術を強いられた。喜美子さんは60年ごろ、
妊娠発覚後に中絶手術と不妊手術を受けさせられた。
いずれも、説明なく家族に病院に連れて行かれたとしている。
提訴後に記者会見した喜美子さんは「なぜ妊娠しないのか分からなかった。
寂しい気持ちで暮らしてきた」と心境を明かした。宝二さんは胸をかくように手を回す
「苦しかった」という意味の手話を繰り返し、「皆さんに事実を知ってもらいたい」と訴えた。
国に3000万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した女性は、
高校受験に励んでいた15歳のときに日本脳炎にかかり高熱が出て、
その後遺症で脳に障害が残った。
高校卒業から結婚するまでの間に、大阪市内の産婦人科医院で不妊手術を受けさせられた。
女性は「仲の良い夫との子どもが欲しくてたまりませんでした。
手術のせいで子どもができず、とても悔しいです」と文書でコメントを出した。
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