北陸中日新聞 2018年9月21日
災害時のろう者 意思疎通手助け
能美市、県内自治体で初
表示に工夫 バンダナ作製
災害時の聴覚障害者の意思疎通を支援しようと、能美市は、ろう者やボランティアが
避難所で首に巻いて、耳が聞こえないことや手話ができることを伝えるバンダナを作った。
折り方によって「耳がきこえません」「手話ができます」の一方が表示され、
もう一方が隠れるようになっている。
市によると、こうしたバンダナの作製は県内の自治体で初めて。
(吉野淳一)
井出敏朗市長(右)からバンダナを受け取った加藤康士さん(中)=能美市役所で
六十センチ四方の正方形。上半分の左側に「耳がきこえません」という
言葉とともに耳が不自由なことを示す「耳マーク」、右側に「手話ができます」という
言葉と「手話」を意味する手話のイラストを入れた。対角線で折ると一方が隠れる。
下半分には「何がしたいか」「どうしたか」を伝える際に使う表を設け、
「書いてください」「おなかが痛い」など、計十二種の意思表示をイラストとともにあしらった。
イラストを指で指せば意思疎通できる。
市内の聴覚障害者や支援者でつくる「市聴覚障害者と共に歩む会」が昨年十月、
市にバンダナの作製を要望した。バンダナは近年、関東の自治体などで作製されている。
市は要望を受け、同会と意見交換しながら独自デザインを考えた。
二十日は市役所で贈呈式があり、井出敏朗市長が同会の加藤康士代表(38)に
ろう者の会員三十人分のバンダナを手渡した。
井出市長が「能美で安全安心に暮らす一助になれば。改善点があれば言って」と語ると、
加藤さんは「バンダナを通じてスムーズな支援をいただけることを願っている。
イベントなどで周知していきたい」と期待をこめた。
市はこのほか、市ボランティアコミュニティ活動支援センターに
三十枚を貸し出し用に置くほか、市福祉課内に避難所用として四十枚配置する。
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