長野県 聴覚障害者10人が不妊手術

信毎web  2018年 8月23日


聴覚障害者10人が不妊手術、4人中絶 

県協会が調査


 旧優生保護法(1948〜96年)下、県内の聴覚障害者に不妊手術がされていた

問題で、手術を受けたのは少なくとも女性6人、男性4人に上ることが

22日、県聴覚障害者協会(長野市)の実態調査で分かった。


 このうちの女性3人と、別の女性1人が中絶手術を受けていたことも判明。

協会は調査結果を31日に発表し、加盟する全日本ろうあ連盟(東京)に報告する。

今後、手術を受けた被害者に必要な支援策を検討するとしている。

不妊手術など県内で聴き取った実態を報告した県聴覚障害者協会の調査員ら
=22日、長野市


  協会は、連盟による全国調査の一環として6月に県内で調査を開始。

協会員や手話通訳士計8人が不妊手術を受けた可能性のある聴覚障害者の

当事者や配偶者への聞き取りをし、22日に長野市内で結果を取りまとめた。  


 その結果、女性については県内で暮らす60代1人、70代3人、80代2人の

計6人が不妊手術を受けていたことが判明。このうち3人は、

不妊手術の前に中絶手術も受けた経験があった。


  男性については、県内で暮らす70代1人と、既に死去した3人が

生前に不妊手術を受けていたことが分かった。

死去した3人についてはそれぞれの妻から証言を得た。


 このうち妻1人も聴覚障害者で、不妊手術は受けていないものの、

中絶手術を受けていたことが分かった。 


 協会は6月、聴覚障害のある県内の60代と70代の女性2人が

不妊手術を強いられた可能性があることを公表。このうち70代女性は

今回の調査で施術されたことが確認され、60代女性は今月末までに聞き取りを予定している。

このため不妊手術を受けた人数はさらに増える可能性がある。


  協会の井出万成(かずしげ)理事長(71)は

「手術を受け入れざるを得なかった苦しみを思うと、やり切れない。

どんな支援が必要か具体的な方策を探っていきたい」と話した。 




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