16歳が手話で訴えた「フェンスのない未来」

琉球新報  2018年8月21日


 第28回児童・生徒の平和メッセージ展(県主催)の

開会式・表彰式が20日、沖縄県庁で行われた。


 詩部門の「特別支援の部」で最優秀賞を受賞した県立沖縄ろう学校高等部2年の

渡具知和紀(かずき)さん(16)は、受賞作を手話を交えて朗読した。


 題名は「戦場の花から平和の花へ」。涙を流して証言する戦争体験者の

思いに触れた渡具知さんは、「忘れてはならない」と訴え、

両手を高く上に掲げ、今も米軍機が飛び交う沖縄の空を表現した。


 平和な社会のために「若者よ。動いていこう」と同世代にも呼び掛けた。

これに対して会場からは拍手が送られた。 

手話を交え、詩「戦場の花から平和の花へ」を朗読する渡具知和紀さん(左)
=20日、那覇市の県庁


 2歳の時に聴覚障がいが判明した。幼い頃からテレビ番組の

手話教室を見るなどして独学で手話を覚え、発声も練習し努力を積み重ねてきた。


 今回の表彰式で披露した手話付きの朗読は約3週間かけて練習した。 


 朗読した詩は戦争や平和とは何か問い掛けた。

「おじぃやおばぁの心の叫び。私の耳には確かに聞こえる」。

抑揚を付けた声と身ぶり手ぶりで表現し、出席者は引き付けられた。


 最後は「米軍機が飛び交う空の下、今日も私は叫び続ける。

フェンスのない未来を求めて」と締めくくった。 


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設が

行われている大浦湾に近い同市瀬嵩で生まれ育った。


 自然豊かな海が破壊されることに反対し、米軍キャンプ・シュワブゲート前で

平和を願う火をともすピースキャンドルを約14年間、家族と共に続けている。


  詩の朗読前には、新基地建設阻止へ尽力した県知事の翁長雄志さんへ向けて

「ありがとうございました。お疲れさまでした。

翁長知事の遺志を私たちが受け継いでいきます」と誓った。  

最優秀賞、優秀賞を受賞し、記念撮影する児童生徒ら=20日、那覇市の県庁



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