聴覚障害克服、剣道6段

@S[アットエス] 静岡新聞SBS  2018/7/28


聴覚障害克服、剣道6段 

浜松市職員・村木さん一発合格


 聴覚障害がある浜松市障害保健福祉課の職員村木正法さん(37)

=同市中区住吉=がこのほど、剣道6段の昇段審査で一発合格を果たした。


 全日本剣道連盟によると、6段の合格率は約2割の難関。

身体障害者で6段を取得した人は全国に複数いるが

1回の挑戦で合格したケースは極めて珍しいという。


  村木さんは3歳で聴覚障害になった。今も原因は不明という。

剣道は父親で道場「明徳館」=同市中区曳馬=の館長を務める昌弘さん(71)や

兄の啓純さん(46)の影響で小学3年生から始めた。

剣道6段の昇段審査で一発合格を果たした村木正法さん=7月中旬、浜松市中区


  国体に出場するなど学生時代から活躍していた啓純さんと比べ

正法さんに目立った実績はなかった。

しかし兄に追い付こうと地道に鍛錬を続けてきた。 


 普段は補聴器を使っているが、剣道の最中は「汗で壊れてしまうから」と外している。

聴覚を完全に失っているわけではないが、防具を着けると周りの音は

ほとんど聞こえなくなり、相手の目や口の動きも見えにくくなる。

それでも「相手から見れば普通の剣士。

障害があるから自分が不利だと思ったことはない」と淡々と語る。


  3段、4段の昇段審査に何度も落ちたが、諦めずに基本練習を繰り返し

間合いの取り方なども独自に追究してきた。


 他の教え子と同じように指導してきたという昌弘さんは

「学生と違い、社会人が自分で時間をつくって稽古を続けるのは大変なこと。

つらいこともたくさんあったと思うが、よく頑張った」と努力をたたえる。


  正法さんの次なる目標は、父が取得している7段。

昇段審査に挑むには6年以上の修行が必要だが

「道場の後輩や障害者の励みになりたい」と話し、力強く竹刀を振った。



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