毎日新聞 2018年7月23日
山口県、制定へ
教育充実し「分かる人増やす」
県は、手話を理解できる県民を増やすため、教育の充実などを目指す
「手話言語条例」を制定する方針を決めた。
県ろうあ連盟や手話通訳者と協議を進め、条例案を取りまとめる。
全日本ろうあ連盟は、手話教育の充実や普及を図る手話言語法の制定を目指し活動している。
全国の自治体で条例を定める動きが続いており、2014年に制定した萩市を含む
185自治体に条例がある(20日現在)。
6月下旬、県議会本会議で条例制定の意思を問われた村岡嗣政知事は
「聴覚障害者が、自立した社会生活を送るための情報伝達手段として手話は重要だ。
条例制定に向け検討に着手する」と明言した。
県障害者支援課は「条例で手話を音声言語と同じと位置付け
1人でも多く手話が分かる人を増やすことにつなげたい」と話す。
県ろうあ連盟の赤井正志理事長(58)は「目の前が開けた感じだ」と動きを歓迎する。
国内で手話は1990年代前半まで「日本語習得の邪魔になる」として
ろう学校内でも使用を禁じられ、教育は長い間
相手の唇の動きから言葉を読み取る「口話法」を使っていた。
赤井さんも、教師の唇の動きを読み取れず、大変な苦労を強いられた世代だ。
先行する萩市の条例は、市に対し手話で意思疎通ができる地域社会を構築する
施策の推進などを定め、市民にも施策の実現に協力し
耳が聞こえない人たちの人権尊重を求めている。
赤井さんは、障害の有無にかかわらず子供たちが手話を学ぶ
機会を広げてほしいと望んでいる。
「簡単な内容でもいい。私たちに会った時に手話で話してもらえる
社会になったら素晴らしい」
【祝部幹雄】
〔山口版〕
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