京都新聞 平成30年7月15日
聴覚障害者らと育成、聴導犬が誕生
滋賀で日本初
滋賀県聴覚障害者福祉協会が聴導犬として訓練してきた
トイプードル「ポッキー」(雄、8歳)がこのほど、国の認定試験に合格した。
国の聴導犬認定試験に合格したポッキーと五十嵐さん
(守山市洲本町・おうみんち)
同協会によると、聴覚障害者の当事者団体が育成した聴導犬は日本初という。
利用者の五十嵐恵子さん(55)=守山市=は「合格した後が本番。
聴導犬への理解が広まるよう、外出して啓発したい」と意欲的に語る。
聴導犬は、訓練された後に利用者とマッチングするのが通例だが
同協会では利用希望者が訓練段階から深く関わる。
2009年から厚生労働省のモデル事業として育成の調査研究を始め
15年に県に育成事業者としての届け出が受理された。
五十嵐さんは7年前に協会からポッキーの貸し出しを受けた。
自宅で一緒に暮らし、同協会の障害者福祉施設「びわこみみの里」(同市水保町)で
民間の訓練士らとともに育成に取り組んだ。
協会にとっても育成事業は初めてづくし。鉄道会社やスーパーに
訓練の協力を取り付けるところから始めた。
携帯電話や呼び鈴など必要な音を聞き分けて五十嵐さんに伝える練習だけでなく
公共の場所で他人に迷惑を掛けない訓練も重ねた。
成果は実り、飲食店や地下鉄での仕事ぶりを審査する
今年1~2月の国の認定試験に、ポッキーは一発で合格。
みみの里の中村正所長は「本当に喜ばしい」と語る。
五十嵐さんは「聴導犬」と書かれたベストを着たポッキーを伴い
スーパーなどに積極的に出掛けている。
五十嵐さんは「聴覚障害は外見ではわかりにくい。声をかけられても気付かず
愛想が悪いと思われることも。ポッキーは聴導犬としても頼もしいが
一緒にいると障害に気付いてもらえる安心感もある」
と相棒を見つめた。
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