毎日新聞 2018年7月7日 地方版
バリアフリーラウンジ
車椅子で気軽にお酒を
スタッフ3人「サービス介助士」
障害のある人でも気軽にお酒を楽しんでもらおうと、繁華街ススキノの
中心部にバリアフリーのラウンジ「スターレイン」(札幌市中央区南6西4)がオープンした。
車椅子利用者などに配慮した店内のレイアウトやメニュー表の作製は
当事者の声を聞いて準備し、障害者に対応するための接客講習も定期的に実施している。
店主の小林輝さん(29)は「どんな人でも気軽に楽しめる店を目指したい」と話している。
同店はススキノで飲食店を2店舗経営する小林さんが「スタッフがいつまでも働ける職場を」
と福祉事業に着目。ノウハウがある飲食業でバリアフリーに特化した店舗を開店しようと
約1年の準備期間を経て今年4月にオープンした。
約15人の女性スタッフのうち、2人には聴覚障害などの障害がある。
開店にあたり、知人や利用客の車椅子利用者などに意見やニーズの聞き取りを実施。
従来のフロア備え付けトイレは入り口や通路が狭く「トイレ設備が整っていないため
1人では外出できない」との声が上がり
通路などを広くした車椅子対応の個室トイレを新設した。
車椅子利用者でこの日、来店していた佐藤成二さん(28)は
「トイレ設置や店内の通路を広くしたら、設置できる座席数が
少なくなり利益は減ってしまうはず。
それでも配慮してくれたのがうれしい」とグラスを傾けた。
店内の座席は通常より高さを低くし、脇に手すりを付けることで
介助がなくても車椅子から座席に移りやすくした。
特注のテーブルは脚を高くし、車椅子に座ったままでも奥まで入れるようにした。
グラスは落としても割れないプラスチック製で、メニュー表の文字は
弱視の利用客に向けに字を大きくし、今後は点字メニューの作製も検討している。
小林さんとスタッフ計3人は、障害のある利用客らを適切にサポートできる
民間資格「サービス介助士」を取得。また月1回、介護士らを講師に招き
障害のある人への接客法や注意点について学ぶ講習を開催している。
常連客で車椅子利用者の古藤健太さん(27)は
「バリアフリーでは施設面に目が行きがちだがスタッフの意識も大事。
ここは両方が整い、気持ち良くお酒が飲める。
こうしたお店は少ないのでもっと増えてくれれば」と期待する。
車いすのお客さんも気軽に楽しめるバリアフリーラウンジ「スターレイン」。
手前右は代表の小林輝さん=札幌市中央区で2018年6月15日、竹内幹撮影
小林さんは「お店ではストレスや壁を感じないで楽しんでもらいたい。
スタッフが気を使い過ぎても失礼になるので、お客さんの声を集めながら
改善していきたい」と話している。
【安達恒太郎】
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