2018/6/9 神戸新聞NEXT
障害理由に不妊手術を強制
神戸の夫妻が実名公表し証言
旧優生保護法(1948~96年)の下で、聴覚障害を理由に不妊手術を強いられた
神戸市内の夫婦が実名を公表して証言する決意を固めた。
これまで神戸新聞などの取材に匿名で応じてきたが、子どもを産むという自己決定権が
二度と奪われることのないように、そして「声を上げられる仲間が増えるように」
との思いから決断した。
9日、大阪市内で全日本ろうあ連盟が開く会見に出席し
手話で体験を伝える。(田中陽一、田中宏樹)
高木賢夫(たかお)さん(79)と、妻の妙子さん(77)。
神戸ろうあ協会の活動を通じて知り合った2人は68年4月に結婚した。
「声を上げられる仲間が増えれば」
不妊手術を強いられた体験を実名で証言することを決めた
高木賢夫さん(左)と妻の妙子さん=神戸市内
だが実は、それぞれの両親が秘密裏に決めた結婚の条件があった。
それが「子どもを産まないこと」だった。
賢夫さんは結婚の数カ月前、目的も聞かされないまま病院へ連れて行かれ
その日のうちに手術を受けさせられた。
妙子さんが賢夫さんから手術の知らせを聞いたのは
ちょうど出産について考え始めた時期だった。
「悲しかったし、悔しかった」。当時の心境を手話で訴える。
以来約50年間、誰にも打ち明けてこなかったが、今年に入り宮城や東京
北海道で国に損害賠償を求める訴訟の動きが活発化した。
高木さん夫婦も5月、兵庫県聴覚障害者協会などが被害の
実態調査に向けて開いた学習会で、初めて人前で体験を明かした。
すると「実は私も…」という仲間が出始めた。
そうした流れも「実名で証言する後押しになった」と賢夫さん。
妙子さんも「同じ過ちが繰り返されてはならない」と強調する。
全国ろうあ者大会に合わせて開かれる9日の会見では、こうも訴えるつもりだ。
「障害の有無にかかわらず、対等に生きられる社会にしたい」
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