「ベンドレッド症候群」への治験開始【5月】
iPS創薬で難聴治験
慶応大、国内2例目
動物実験なしで候補物質発見
産経ニュース 2018.4.24
慶応大の研究チームは24日、進行性の難聴を引き起こす遺伝性の病気
「ペンドレッド症候群」の治療薬候補を人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って発見し
患者に投与する治験(臨床試験)を5月に開始すると発表した。
iPS細胞を使った創薬研究の治験は、京都大が昨年実施した
「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」に続き国内2例目で
動物実験を行わずに治験を開始するケースは初めて。
ペンドレッド症候群は難聴やめまい、甲状腺腫を引き起こす。
有効な治療法はなく、国内の患者数は約4千人。
音の振動や体の平衡状態を脳に伝える内耳という器官に異常が生じることで起きる。
チームは患者の白血球から作製したiPS細胞を内耳細胞に分化させ
症状を体外で再現することに成功。
詳しく調べたところ、異常なタンパク質が蓄積して
内耳細胞が死ぬことが病気の原因と分かった。
異常なタンパク質の分解を促進する可能性がある約20種類の薬剤を試したところ
臓器移植の際に免疫抑制剤として使われる「シロリムス」(販売名ラパリムス)が
有効であることを突き止めた。
ペンドレッド症候群は患者の症状を再現する動物を作製できず
原因が分からないため、治療薬の開発が進んでいなかった。
チームの藤岡正人専任講師は「今回の治験がiPS創薬の本格的な始動になり
より多くの病気の治療につながるだろう」と話している。
治験は7歳以上の患者16人を対象に、1人当たり10カ月かけて実施する。
患者は自宅で検査機器を使って症状を毎日計測。
データを通信回線で自動収集し投薬効果を確かめる。
iPS創薬で難聴治療薬を治験へ
―Pendred症候群の難聴・めまいに対するシロリムス少量療法―
平成30年4月24日 プレスリリース
【図1】IoTを活用した治験データ登録システム
慶應義塾大学医学部
慶應義塾大学病院 国立研究開発法人
日本医療研究開発機構
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